--.--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2006.05.21

ただひとり

「 敵にも親や恋人がいて、彼らは敵を愛しているに違いない。
  憎しみの対象は、愛の対象でもあるはずだ。」

  茂木健一郎 「脳と創造性」より



「戦争で死んだ兵士のこと」 作・小泉吉宏

「今はのどかな森の中の湖のほとり、ひとりの兵士が死んでいる。」

森の中にひとりの兵士が倒れている。
その兵士の「生の終わり」から、この物語は始まる。




「1時間前、兵士は生きて闘っていた。」
 今は湖のほとりに横たわる兵士。一時間前にはまだ、生きていた。




「2時間前、兵士はひとり道に迷っていた。」
 今はもう、迷うことすら出来ない。


戦争で死んだ一人の兵士。
その兵士の生前の時間を遡ぼり、生きた軌跡を辿っていくことで、
読み手はその兵士に感情を移入することができる。
それは、僕たち一人一人が皆、同じ様に「生の軌跡」を持っているから。

戦争では、多くの人々が亡くなる。
でも、それは本当は「多くの人々」ではなく、
「ただひとり」の、とてつもない数の集合体であって、
そこには、やはりとてつもない数の「生の軌跡」が確実に存在する。
一人一人に親や恋人がいて、その人たちにとって
その「ただひとり」は、かけがえのない愛の対象であるはずだ。

「 そのようなことを想像し、憎しみと愛を同時に引き受けなければ、
  その人にとっての世界のリアリティは平面的なものになってしまう。」

  引用書 上に同じ

まず想像すること、の大切さ。
この記事へのトラックバックURL
http://lionni.blog42.fc2.com/tb.php/102-e4b3ead6
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
はじめまして、kakoさん。
いつも読んで下さっていたのですね。
とても嬉しいです。

涙を流しながら、絵本の世界に没頭できる姪っこさんが羨ましい。
その体験と、その時一緒だったkakoさんのことは
きっと姪っこさんの中に残るんでしょうね。
(覚えてはいなくても、何らかの形で・・・)

そして、kakoさんの中にも。

その本は「やさしいライオン」がタイトルでしょうか?
今度、探してみます。

最近は絵本の話が少なくなってきましたが(笑)
また遊びにいらして下さいね。
Posted by littleblue at 2006.05.26 23:32 | 編集
はじめまして。
littleblueさんの書かれたものひとつひとつに感動したり考えさせられたりしていました。これからも楽しみにしていますね!

「ただひとり」を読んで、思い出した話があります。
3才の姪っこと一緒に「やさしいライオン」の絵本をよんでいました。
赤ちゃんのライオンが犬のお母さんに育てられて、育ち、やがて大きくなったライオンはサーカスで人気者になるのですが、遠くからお母さんの子守唄が聴こえ、檻を抜け出し、いちもくさんにお母さんのもとへ走って行くのです。

追ってきた警官隊に向かって、姪っこが涙を流して言いました。
「どうしてころしちゃうの~!?なんにもわかってないくせに~!!!」




Posted by kako at 2006.05.26 10:48 | 編集
オアノアンさん、
足跡だけでも残して下さって、
それと、僕という人に興味を持って下さって
ありがとうございます。
気軽に、いっぱい、コメントして下さいな。

マーク・ハントについても一度書いたんですよ。気付かれました?
もう、好きで好きでたまらないのです。(笑)

最近はちょっと絵本から離れる記事も多いのですが、
よろしくお願いします。

あ~、初めての方がいらっしゃると、いつもドキドキする。
Posted by littleblue at 2006.05.23 07:55 | 編集
jasuminさん、「このことを大切にすること」、
とても大切なことですが、とても難しいことですよね。
僕はまだ、ごく身近な人を亡くした経験がないのですが、
「私のお母さん1人亡くなるのが100回分」って
思うと、ホント恐ろしい数の悲しみです。

その一人一人のバックには、幼い頃の思い出やら、
今の家族や恋人への強い想いやらが在る。
そのことを想像して、一時期、「群衆」を見るだけで泣けて来た
(おかしな?)歳ごろがありました。
「群衆」って、まさにそんな想いの○人分ですから・・・
(なんかズレた・・・)

そのご友人も、仕事であることとのバランス取りで
苦労されていることでしょうが、
やはり、そういう方も「慣れて」はいないんだと
知ることが出来て、少し安心な気がします。

「なんだ?この人!」と思っちゃう人でも、
自分の前での姿ではない、全く別の姿をかいま見れた時、
そのギャップでいっきに好きになれたりもしますよね。
Posted by littleblue at 2006.05.23 07:28 | 編集
はじめまして。
どこからたどり着いたかわからないけど、
今日はコトバを探していたので。

過去ログ見せてもらいました。

コメしたいとこもいっぱいあるけど
今日はとりあえず足跡のこして帰ります。

興味ありまーす。あなたという人にネ。
マーク・ハント好きってこともいいね~(^^)
Posted by オアノアン at 2006.05.22 19:37 | 編集
私このこととても大切にしています。
<「多くの人々」ではなく、「ただひとり」>
例えばイラクで100人亡くなったのなら「たくさん亡くなったのねぇ」じゃなくって「私のお母さん1人亡くなるのが100回分」て思うと、その100人の背景にどれだけの人々の悲しみがあるかわかるような気がします。
某TV局の報道デスクをしている友人がいるのですが、彼も様々な事件・災害に対して「またか・・・」と思ってはいけない。いつになっても慣れないって言ってました。報道する側にもこういう真摯な態度でいて欲しいと思いますし・・・。
それから、自分が「なんだ?この人!」と思ってしまう相手にも、その人を愛する親・恋人がいるってこと、大切ですよね。自分に見せているその面だけがその人の全てではないかもしれないって、忘れないでいたいです。
生きた奇跡は、皆平等にあるのですね。
Posted by jasumin at 2006.05.21 22:51 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。