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2006.05.21

ただひとり

「 敵にも親や恋人がいて、彼らは敵を愛しているに違いない。
  憎しみの対象は、愛の対象でもあるはずだ。」

  茂木健一郎 「脳と創造性」より



「戦争で死んだ兵士のこと」 作・小泉吉宏

「今はのどかな森の中の湖のほとり、ひとりの兵士が死んでいる。」

森の中にひとりの兵士が倒れている。
その兵士の「生の終わり」から、この物語は始まる。




「1時間前、兵士は生きて闘っていた。」
 今は湖のほとりに横たわる兵士。一時間前にはまだ、生きていた。




「2時間前、兵士はひとり道に迷っていた。」
 今はもう、迷うことすら出来ない。


戦争で死んだ一人の兵士。
その兵士の生前の時間を遡ぼり、生きた軌跡を辿っていくことで、
読み手はその兵士に感情を移入することができる。
それは、僕たち一人一人が皆、同じ様に「生の軌跡」を持っているから。

戦争では、多くの人々が亡くなる。
でも、それは本当は「多くの人々」ではなく、
「ただひとり」の、とてつもない数の集合体であって、
そこには、やはりとてつもない数の「生の軌跡」が確実に存在する。
一人一人に親や恋人がいて、その人たちにとって
その「ただひとり」は、かけがえのない愛の対象であるはずだ。

「 そのようなことを想像し、憎しみと愛を同時に引き受けなければ、
  その人にとっての世界のリアリティは平面的なものになってしまう。」

  引用書 上に同じ

まず想像すること、の大切さ。
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Posted at 21:07 | 絵本 | COM(6) | TB(0) |
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